【犬の健康】健康維持に不可欠!正しい水分補給の知識と計算方法

愛犬は毎日どのくらい水を飲んでいますか?

「もしかして、足りていないかも…?」

前回の記事では、水分不足によるリスクやおすすめの水分補給法について解説させていただきました。

【犬の健康】脱・水分不足!水を飲まない愛犬の簡単新習慣

愛犬を水分不足に陥らないようにするためには、1日に必要な水分量を把握することが大切です。
この記事では、犬の健康を守るための第一歩である、1日に必要な水分補給量の計算方法を分かりやすく解説します。

今すぐにでも1日に必要な水分量の計算がしたい!という方は以下のツールをご使用ください。

【犬の健康】水分補給量計算ツール

ステップ1: 基本水分量(BW)を計算する

基本水分量(BW: Basic Water Requirement)とは、安静状態の犬が最低限必要とする水分量の目安です。
これはカロリー計算におけるRER(安静時のエネルギー要求量)に相当します。

以下の計算式で求めることが可能です。

  • BW(ml/日) = (体重kg)× 50ml

例: 体重5kgの犬の場合

  • BW = 5kg × 50ml = 250ml/日

補足情報

より詳細な計算式として、BW(ml/日) = (体重kg)^0.75 × 132という式があります。
この式は体表面積と基礎代謝量から推定する方法で、より正確な数値を求めることができるとされています。
ですが、計算がやや複雑になるため、日常的な水分管理では上記の「体重(kg) × 50ml」の計算方法で算出した値が十分な目安となります。

ステップ2: 推定水分要求量(DWR)を計算する

推定水分要求量(DWR: Daily Water Requirement)とは、犬が1日に必要とする水分量の目安です。
これはカロリー計算におけるDER(推定エネルギー要求量)に相当します。

以下の計算式で求めることが可能です。

  • DWR(ml/日) = 基本水分量(BW) × 補正係数

基本水分量(BW)補正係数をかけることで、1日に必要な推定水分要求量(DWR)を算出できます。

補正係数

補正係数は犬の状態や環境によって異なり、おおよその目安は以下の通りとなります。

  • 活動レベル:
    • 低い(ほとんど運動しない): 1.0
    • 普通(1日1時間程度の散歩): 1.2
    • 高い(活発な運動を毎日行う): 1.5
  • 季節:
    • 通常: 1.0
    • 夏場(高温多湿): 1.2〜1.5
  • 食事内容:
    • ドライフードのみ: 1.0
    • ウェットフード混合: 0.8(ウェットフードの水分含有量による)
  • その他:
    • 妊娠中: 1.5
    • 授乳中: 2.0〜3.0
    • 病気(下痢、嘔吐、腎臓病など): 状態によるため獣医師の指示に従う

例: 体重5kgで普通の活動レベルの成犬(ドライフードのみ)の場合

  • DWR = 250ml/日 × 1.2 = 300ml/日

まとめ

以上の2ステップを踏むことで、体重5kg活動レベル普通である成犬(ドライフードのみ)が1日に必要とする推定水分要求量(DWR)300ml/日と算出できました。

ただし、この計算で求められるのはあくまで目安です。
個体差(年齢、体質など)、活動量、季節、食事内容、健康状態、環境(湿度、室温)によって必要な水分量は大きく異なるため、かかりつけの獣医師や専門家へご相談いただけますとより正確に把握できます。

また、食事から水分を摂取している(ウェットフードや手作り食を与えている)場合は、その分飲水量が少なくなる傾向があります。
食事に含まれる水分量も考慮し、過剰な水分摂取にならないように注意しましょう。

例えば、ウェットフードの水分含有量が70%の場合、100gのウェットフードには70mlの水分が含まれていることになります。

さらに、飲水量だけでなく、尿の量や色皮膚の状態なども観察し、脱水症状の兆候がないか確認することが大切です。
例えば、尿の色が濃い尿量が少ない皮膚をつまんで離したときに戻りが遅いなどの場合は、水分不足の可能性がありますので、早めに獣医師へご相談ください。